2022.8.26 グラーフェネック城公園雲の塔(takt1 mediathek)
出演
サイモン・ラトル(指揮) ロンドン交響楽団
曲目
ベルリオーズ:序曲「海賊」 作品21
ダニエル・キダン:サン・ポーエム
ラヴェル:「ラ・ヴァルス」
シベリウス:交響曲第7番ハ長調 作品105
バルトーク:組曲「中国の不思議な役人」
(アンコール)
フォーレ:パヴァーヌ

グラーフェネックはウィーンから北西へ車で1時間ほどの美しい街。ここで毎年夏野外コンサートが開かれている。雲の塔と呼ばれる巨大な芸術的建造物のステージと階段状アレーナで周辺は芝生でおおわれピクニック気分でコンサートが楽しめる。佐渡裕のトーンキュンストラー管弦楽団がレジダンス・オケとなっているし、過去デュトワのN響が出演したこともある。

このプログラムを見てちょっと驚いた。夏の野外なら普通ポピュラーものと思いきや日本ではむしろレアに属する曲ばかりである。後期ロマン派から現代に亘る比較的短い曲を集めたものだがドイツものがない。後進国のオケがお国ものとか得意曲を披露するのとは訳が違う。何せ天下のサイモン・ラトルとロンドン響である。他にも多くのコンサートがあったがやはりオペラからヘヴィーな交響曲まで本格的で、単なるエンタテイメントとは違う。さすが音楽の本場である。

プログラムで「ラ・ヴァルス」は聴いたことがあるが他は定かでない。ギダンは勿論初めて、その他も少なくとも実演では聴いたことがないと思う。しかし演奏の上手いことには驚かされる。ロンドン響はヨーロッパ屈指のオケでその巧さはベルリン・フィルに次ぐと思う。ところが良い専用ホールがないこともあるかもしれないが今一魅力に乏しい超優秀オケのような気がする。

曲の中でその上手さが際立って効果的に生きたのがバルトーク。ソロには惚れ惚れするし、音は低音が良く鳴って厚く、音色もバルトークには合ってるようにも思うし、何せ恐ろしくよく合っている。最後に持ってきたのも分かる迫力ある素晴らしい演奏であった。ラヴェルはもっと明るい音が好きだし、シベリウスは曲自身の問題かもしれないが掴み所がなく好きでない。

感動はしなかったが兎にも角にも上手さに圧倒されたコンサートであった。