2014.10.23 (ライブ収録OTTAVA)
出演
プリマ/アリアドネ:ソイレ・イソコフスキ
作曲家:ゾフィ・コッホ
ツェルビネッタ:ダニエラ・ファリー
テノール/バッカス:ヨハン・ボータ
音楽教師:ヨッヘン・シュメッケンベッカー
ハルレキン:アダム・プラチェトカ ほか
ウィーン国立歌劇場管弦楽団
指揮:クリスティアン・ティーレマン
演出:スヴェン=エリック・ベヒトルフ
ウィーン国立歌劇場2014年のライブでBRDが販売されている。また2016年の来日公演でも使われた演出だが、実は2012年のザルツブルグ音楽祭がプレミエでその模様はNHK-BSでも放送された。いろんなところで観る機会があったわけでそれだけ評判のプロダクションと言えるだろう。カラフルな衣装できれいな舞台である。
NHKも観たが、今回のウィーンの演奏はセットと衣装が同じでもかなり違う。ザルツブルグは初演版で演劇の要素が強いのに対して、ウィーンの方は通常上演される改訂版で音楽が中心になる。もう一つの大きな違いはやはり指揮者からくると思う。ザルツブルグはダニエル・ハーディングで軽快、こちらは重厚なクリスティアン・ティーレマンだから違って当然である。好みの問題もあるが、Rシュトラウスに限って言えばティーレマンが断然良いと思う。
「ナクソス島のアリアドネ」は小劇場向けに作曲されたもので、他の作品と違ってオケの規模も小さい。だからと言って区別されることはなく大劇場でも変らず上演されている。ティーレマンのRシュトラウスは定評があるが、このオペラをこじんまりまとめようとはしない。オケが小編成でもティンパニーやピアノを強打したりクレッシェンドを強調したりで、他の作品と同じく華麗で豊かな響きを出している。フィナーレなど特にそう思う。
歌手も皆素晴らしい人ばかりである。タイトルロールのイソコフスキ、作曲家のコッホ、ツェルビネッタ役のファリー、この女声3人は一番いい時期という人を集めたと思う。男声ではバッカス役のヨハン・ボータ。日本公演の前に亡くなっているのでこれはとりわけ貴重な映像と思う。3人の妖精もソフトな声できれいなアンサンブル、衣装はメルヘン、容姿もきれいで華があった。
Rシュトラウスの中では最も楽しいオペラ、私は好きだから多く観た方だと思う。特にデセイとダムラウ両方のツェルビネッタを観られたのが一番の思い出である。