2019.9.25(水)19:00(現地ライブ OTTAVA)
出演
ルーナ伯爵:ロベルト・フロンターリ
レオノーラ:ミシェル・ブラッドリー
アズチェーナ:モニカ・ボヒネク
マンリーコ:ユシフ・エイヴァゾフ
フェランド:ソリン・コリバン ほか
ウィーン国立歌劇場合唱団、管弦楽団
指揮:アルベルト・ヴェロネージ
演出:ダニエレ・アバド
「トロヴァトーレ」はヴェルディのオペラの中で多分一番多く観ていると思う。ストーリーは出鱈目なのに飽きもせず通うのはひとえに音楽の所為である。アリア、重唱、合唱を問わず、出てくる曲すべてが良いとは例外的と思う。その場その場で感情を思いっ切り歌えるので、歌手にとってこれ程見せ場が作れるオペラもない。
主役陣は比較的若手に属する人が多く、元気があってとても良かった。初めて聴いたブラッドリーが魅力的である。アメリカ人ソプラノで、ウィーン・デビューはこのレオノーラ役とのこと。ちょっと暗い感じのしかし柔らかく豊かで美しい声で、とりわけ弱音が素晴らしい。悲しい境遇のレオノーラにはよく合っていたと思う。アズチェーナ役のボヒネクがまた素晴らしい。ワーグナーも歌う強い声で端正に歌ってる感じがするが、この役にはもう少し粗野なところがあっても良いかと思う。でも歌唱は一番と思った。マンリーコ役のエイヴァゾフはネトレプコの旦那として注目されがちだが、なかなかどうして立派だと思う。明るいきれいな声でハイCも楽に歌ってるように聴こえた。3人に比べればフロンターリはベテランなので余裕があったし、コリバンの冒頭のアリアもしっかり聴衆を惹きつけた。
アバドの演出は先の「ドン・カルロ」の様式と完全に同じである。現代の軍隊に置き換えているが分からない話のままで読み替えは一切なし。全体にうす暗い舞台で歌手に歌わせることに最大の配慮をしている。音楽を聴くにはこれが相応しいと思う。
ヴェロネージの指揮は振り慣れているのか強弱の取り方が見事で歯切れがよかった。合唱もオケもレパートリー公演で手慣れたもの。
今シーズンに入って4作目になるが今回が一番良かった。今月はどちらかと言えばポピュラーものばかりだったが、来月は期待の聴きたいものが続く。
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