2019.11.15(金)18:30 (現地ライブ OTTAVA

出演

アリオダンテ:ステファニー・ハウツィール

ジネヴラ:チェン・レイス

ポリネッソ:マックス・エマヌエル・ツェンチッチ

ダリンダ:ヒラ・ファヒマ 

ルルカニオ:ジョシュ・ラヴェル

マーラー合唱団、ウィーン国立歌劇場バレエ団、関係エキストラ・オケ  ほか

指揮:クリストフ・ルセ

演出:デイヴィッド・マクヴィカー

 

ウィーン・フィルが来日中なのでご本家は臨時にやりくりしての公演である。留守番組も残っているからバロック・オペラならやり易いだろう。大劇場でのバロックはあまり観たいと思わないが映像なら問題ない。

 

このオペラは愛し合う者と片想いの男女二組の話が並行して進むから、タイトルを付けなければ演出によってどちらが中心になっても構わないように思う。本公演ではズボン役のアリオダンテとカウンター・テナーのポリネッソの男役対決が見どころと言える。一方相手方の女性の方は両方ともソプラノで、身分立場の違いはあっても同じような心理の表現をすることになる。オペラの筋は簡単だから歌手の力量が勝負になる。

 

ところが歌手陣は粒揃いであった。聴いた記憶のない歌手ばかりだが、どの人も熱演でさすが本場と思った。特に男役二人は素晴らしい。アリオダンテ役のハウツィールは身長はあるし、声は力強いし、感情表現でも2幕のアリアなど気持ちがこもって感動的であった。もう一人ポリネッソ役のツェンチッチは、カウンター・テナーの悪役はイメージ的に難しいと思えるが、素晴らしい迫力のある歌唱で演技も上手かった。

 

ソプラノの二人は役柄から言えばジネヴラよりダリンダの方が積極的性格と思うが、実際はジネヴラ役のレイスの方が声が太く、ダリンダ役のファヒマ は大人しく聴こえ逆のように感じた。歌唱はレイスの方が声の伸びが良かったと思う。ルルカニオ役のラヴェルの声も明るくて良かった。

 

それにオケが素晴らしい。リズムがはっきりしてたたみかけるような力強い演奏でバロック・オペラの長さを退屈させなかった。

 

演出はバックに映像を使ったきれいな舞台で衣装に凝っていた。オーソドックスで特にコメントすることはないが、ただバレエの多さには意味あるのだろうか。2幕は良いとしても1幕に多かったが、オペラの進行に何の関係もないのに音楽に合わせて後ろで踊っていた。単に見せるだけの娯楽か。

 

強烈に訴えかけるものはなかったが、ヘンデルの美しい旋律と技巧的なアリアを楽しむオペラであった。