2019.
12.14(土)14:00 パティオ池鯉鮒かきつばたホール

出演

ドン・アンキナーゼ:大久保 亮  ほか学生

愛知県立芸術大学合唱団、管弦楽団

指揮:佐藤正浩

演出:飯塚励生

 

県芸大のオペラはモーツァルトが圧倒的に多いが、その中で今回初めてレアものを取り上げた。4年ほど前に東京で観た覚えがあるが、名古屋地区では多分これが初演と思う。先週の長久手公演に続き3日目になり、学生公演という枠を取り除いてもオペラの総合的充実度は高く大健闘と讃えたい。察するに学生以上に先生の苦労も大変だったと思う。

 

このオペラはモーツァルト18歳の作で今日から見れば未熟だと思う。しかしバロックの延長線上で考えればすごく新鮮味があって、後の傑作「フィガロの結婚」や「コジ・ファン・トゥッテ」の習作という見方も出来るのではと素人は思う。登場人物8人中6人までがテノールとソプラノ。主役脇役を問わず各人の長いアリアと各幕フィナーレの重唱が聴き所ではあるが、舞台の面白さから言えば恋の駆引きが見所ということになる。

 

この種の喜劇は歌うだけでは笑いが誘えない。演技とか相手方との呼吸(打てば響くタイミングの良さ)が重要となるからプロでもなかなか難しいと思う。そんな中で学生には「精一杯頑張ったね」とねぎらいたいと思う。卒業して盛んに活躍している大久保亮を別にして、学生の粒は例年に比べても揃っていたように思う。それ故にひとりひとりの出来よりもアンサンブルの方が光って、各幕のフィナーレが素晴らしかった。ONE TEAMが流行語になったが今年の公演は特にそう感じた。オケと合唱もよく訓練されていて不満はない。舞台装置はいつもながら良く出来ているし、照明も衣装もきれいで良かった。

 

学生公演は営利目的がないから勉強に適したものならばこうしたレアものに今後も積極的に取り組んで欲しいと思う。

 

パティオ池鯉鮒は初めて行った。新国中劇場並みの円形額縁型ホールだが、丁度良い音響と木質の格調高い雰囲気でどこからも観やすくオペラには最適である。難点は駅から遠いこと。臨時バスを運行しているが、ほとんどの人は車で来ていると思う。


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