2020.
2.7(金)19:00 (現地時間 Staatsoper.TV

出演

青ひげ公:ジョン・ルンドグレン

ユディット:ニーナ・シュテンメ

バイエルン国立歌劇場管弦楽団

指揮:オクサーナ・リーニフ

演出:カティー・ミッチェル

 

「ユディット」とは聞いたことのない題名だが、「青ひげ公の城」の頭に同じバルトークの「管弦楽のための協奏曲」を付けたものだった。予想も期待も何もしない状況で観たので、思いもよらぬ秀逸の公演。音楽も演出も舞台装置も皆最高に素晴らしいかった。

 

ミッチェルの演出は読み替えだが非常に分かり易く面白かった。青ひげ公は裏社会のボス。ユディットは警察の女性捜査官。行方不明になった女性を探すためユディットがおとり捜査をする話になっている。城はボスの隠れ家で、鍵のかかった部屋は銃器や財宝の倉庫、贅沢三昧の私室、誘拐した女の幽閉部屋になっている。ユディットはボスに取り入って一つ一つ鍵を開けさせ、最後はボスからピストルを奪って射殺し救出する。正にスリラー映画さながらのドキドキする緊迫感があった。ここでの主役は明らかにユディットの方でタイトルを変えたのも理解できる。女性演出家らしいかと思う。

 

回転舞台を使い7つの部屋を次々見せる場面転換は最近では珍しい凝った造りで見応えがあった。前座のオケ演奏中スクリーンに本編を予告する映像を流したのも良かった。

 

歌手はもう改めて言うことなく最高。歌唱だけでなく演技も上手かった。ルンドグレンは悪役をやったら凄みのある容貌をしているし、シュテンメも隙のない緊張した振舞いが(ボスは途中で気付く)良かった。オクサーナ・リーニフはウクライナの若い女性指揮者。ぺトレンコの助手をしていたらしい。バランスの取れた鮮明な音の響きが良い。小柄でスリムな可愛い子(に見える)だから楽員も引き立ててやろうと好意的になるだろう。

 

このところ伝統的な舞台ばかり見ていると現在の事件にした読み替え演出の方が却って面白く感じてしまう。

 

バイエルンのライブストリームはウィーンに比べ回数が少ないので、オンデマンドでもっと流してほしいと思う。