2020.
3.12(木) フィルハーモニーホール(現地時間DCH

曲目

ベリオ:8声と管弦楽のための<シンフォニア>

バルトーク:管弦楽のための協奏曲

出演

ノイエ・ヴォーカルゾリステン・シュトゥッツガルト

サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー

 

コロナウィルスの感染拡大でヨーロッパの劇場やコンサートホールは軒並み閉鎖されている。そのため無料ストリームを発信しているところが多いが、ほとんどアーカイブからの収録動画でリアルタイムのライブストリームは少ない。ベルリン・フィルも4/19まですべての公演がキャンセルになっている。そんな中でこれは3月定期の初日に無観客で演奏されたものである。

 

20世紀音楽を2つ組み合わせた珍しいものだが、実は同じプログラムをウィーンで聴いたことがある。大雑把に言えば20世紀前期と後期の代表作かと思うが、後者ベリオは日本では数えるくらいしか演奏されてないと思う。両方ともアメリカのオケの委嘱作品、5楽章40分程の大編成で、素人目には似た感じのする曲である。

 

ベリオのシンフォニアは面白い。8人のヴォーカリストがマイクを使い、語り歌うというよりあたかも一つの楽器の音であるかのように声を出す。弦、管、打楽器と人の声が均等に分担し合い、しかし何かしらごちゃごちゃした複雑な感じがしないでもない。喧騒と祈りが交錯してるような響きでもある。有名作品の一節が多く引用されているというが私にはほんの一部しか聴き分けられない。ベルリン・フィルだからこれ以上の技術はないが、この種の曲はもう少し部分部分がシャープで明晰な演奏の方が楽しめるように思う。

 

バルトークの管弦楽のための協奏曲はベルリン・フィルのスケールの大きさ、音の豊かさ鮮やかさ、アンサンブルなど何をとっても最大限に放出した壮大で素晴らしい演奏であった。言うことなし。人の入ってないホールの残響も一段と演奏を引き立てていた。

 

全世界に蔓延するコロナウィルスに対する不安を感じさせる音楽であったが、これも偶然のめぐり合わせ。それにしてもベルリン・フィルの大音響と無観客のホールとは全く相いれない姿であった。出来るだけ早く元の姿に戻ることを祈るばかりである。