2019.5.17 (ライブ収録OPERAVISION)
出演
マルケ王:フランツ=ヨゼフ・ゼーリヒ
トリスタン:ブライアン・レジスター
イゾルデ:アン・ペテルセン
クーヴェナル:アンドリュー・フォスター=ウィリアムズ
ブランゲーネ:ノラ・グビッシュ
モネ劇場男声合唱団、管弦楽団
指揮:アラン・アルティノグリュ
演出:ラルフ・プレーガー
モネ劇場2019年プレミエ時の公演。前年同じ指揮者アルティノグリュの「ローエングリン」が素晴らしかったので引き続いて観たくなった。
結論を先に言ってしまえばこの演奏は今一つであった。演出は物語との結び付きが2幕を別にして余りないが、舞台美術は光と影を駆使した美しく芸術性高いものであった。
OPERAVISIONはYouTubeによるストリーミングなので音質・映像ともHDより劣る。それは我慢するとして、アルティノグリュの指揮は何か表面的で締まった感じがなく平板と思った。「ローエングリン」より一層内面的だから難しいと思う。歌手も同じ。トリスタンのブライアン・レジスターはアメリカのヘルデンテナーで今秋東響とトリスタンを歌うことになっている。イゾルデのアン・ペテルセンはデンマーク出身。二人とも今一感情が伝わってこなかった。クーヴェナルを演じたフォスター=ウィリアムズはイギリス出身、前年の「ローエングリン」テルラムント同様に滑らかな声が私の好みである。
演奏より興味を引いたのはドイツのラルフ・プレーガーによる演出。舞台の場面場面で写真や彫刻或いはバレエや能を観てるような気になる。1幕は照明に照らされた鍾乳洞みたいなセット。2幕は愛の群舞の彫刻で、石膏作品と思っていたら10人ほどのダンサーが入っていて踊り出したのには驚いた。3幕は筒状のスポットライトが背面に散りばめられた踊の舞台みたい。この中での人物の動きが極めて遅くバレエか能を観てるようであった。この人は演出家というより振付師ではと思った。観てる分にはきれいで良いが、音楽までそれに合わせたのんびりした感じがしてしまう。だいぶん昔のことだが、ROHで能のような「アイーダ」を観たのを思い出した。
それにしても西欧のオペラはいろんな国の人が集まっていると思う。国際的という感覚は多分ないのであろう。
オペラは音楽。演出が目新しくきれいで面白いだけではつまらない。
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