2020.1.22&23 (ライブ収録)
出演
ヴィオランタ:アンネマリー・クレーマー
アルフォンソ:ノーマン・ラインハルト
シモーネ・トロヴァイ:ミヒャエル・クプファー=ラデツキー
ジョヴァンニ:ペーター・ソン
乳母:アンナ・マリア・キウリ  ほか
トリノ王立歌劇場合唱団、管弦楽団
指揮:ピンカス・スタインバーグ
演出:ピエール・ルイージ・ピッティ

コルンゴルド17歳の作、1時間15分の1幕ものでこれがイタリア初演という。ドイツのヴェリズモとも言われ、ストーリーは単純過ぎて面白くないが音楽は実に美しい。

妹がアルフォンソに弄ばれて自殺した復讐として、ヴィオランタは夫シモーネと共に殺そうと計画するが、逆に甘言に誘惑されて好きになってしまう。シモーネがアルフォンソを殺そうとした瞬間に割って入り自分が刺されて死ぬという阿保らしい話である。

舞台はカーニバルが開かれているヴェネツィアの軍司令官シモーネ・トロヴァイの館である。深紅の部屋に丸窓があり、その向こうにゴンドラが行きかう。女性たちはカーニバルに出かけるためマスク姿で着飾っている。ヴェネツィアと一目で分かるセットである。

歌手は普通といった印象。このオペラなら感情を露骨に表現した方が良いと思うが上手に歌ってる感じがする。ヴィオランタのアンネマリー・クレーマーは憎しみから愛に変わる心情の変化が官能的でなく日本的で大人しい。歌唱も何か平板に聴こえた。アルフォンソのノーマン・ラインハルトは声質から致し方ないがこの役柄にはもっと甘美な声の方が合うと思う。シモーネ役のミヒャエル・クプファー=ラデツキーは新国のピッツァロでもそう思ったが人の好いおじさんタイプで強さがないように聴こえる。乳母のアンナ・マリア・キウリは良かったと思う。全体としてちょっと物足りない感じが抜けない。

コルンゴルドはナチを逃れてアメリカに亡命し映画音楽で活躍した。このオペラでも美しいメロディーはロマンス映画の香りがする。特にテノールのアリアが「死の都」と同じく甘くて素晴らしい。

多分日本ではまだ上演されてないと思うが、
OPERAVISIONではこういうレアものがたびたび配信されて有難い。