2020.10.11(日)15:00 豊田市コンサートホール
曲目
J.S.バッハ/鈴木優人編:管弦楽組曲第1番ハ長調 BWV1066
W.F.バッハ:2台のチェンバロのための協奏曲ヘ長調 F.10
J.S.バッハ:前奏曲とフーガイ短調 BEV543(オルガン鈴木雅明)
      トッカータとフーガニ短調 BWV565(オルガン鈴木優人)
      2台のチェンバロのための協奏曲第2番ハ長調 BWV1061a
(アンコール)
クープラン:クラブサン曲集第2巻第9より 2台のチェンバロのためのアルマンド
C.P.E.バッハ:デュエット第2曲ヘ長調 Wq.115-2
J.S.バッハ:カンタータ第147番「主よ人の望みの喜びを」

2月以来8か月ぶりのコンサート。当初プログラムを変更しての開催である。本来ヴィオラのアントワン・タメスティとチェンバロの鈴木優人によるデュオ・リサイタルの予定であったが来日できず、父鈴木雅明とのチェンバロ・リサイタルになった。バッハ・プロに変わりなければ問題ない。更に直前ソロ曲目をオルガンで弾くことに変更になったがこれはむしろ歓迎したい。多分世界的に評価の高いブランボーのオルガンがあったからと思う。

コロナ禍の収容数は半分の500名。普通ならチェンバロには少し大き過ぎるホールでも多少響きが良くなったかそれ程音が遠いとは感じなかった。チェンバロ曲では最後に演奏された協奏曲2番が一番良かったと思う。単にバッハと言えばJ.S.バッハのことだが、父親があまりにも偉大だったので息子の方は影が薄い。前半の協奏曲ヘ長調は次男の作だが、初めてであまり印象に残らなかった。それに反し後半の父バッハは同じく初めて聴いても生き生きした生命感があって素晴らしかった。管かと思うような音が出て驚いた。管弦楽組曲は若い頃よく聴いた曲なのにチェンバロ編曲ではそのイメージがあまり湧いてこなかった。管弦楽のピアノ版は多くあるが、やはり楽器の表現能力の差かと思う。

同じ道を歩む鈴木の父と息子だが、チェンバロでは2台の曲ばかりなのでその違いが判らなかった。しかしオルガンの演奏で随分違うと思った。父の方はオーソドックスで学究的、息子の方は現代的解釈を加えた明解な演奏であった。

オルガンとチェンバロを同時に聴いたのは初めて。チェンバロからオルガンに変わった時点ではやはりチェンバロの音が如何にも貧弱に思えた。しかし後半オルガンからチェンバロに変わった時にはそれを全く感じなかった。それだけチェンバロ曲が良かった所為だが、考えてみればオケでもフォルテシモとピアニシモが共存するのでそれは音楽次第ということであろう。

リサイタルは演奏者にとってコロナの影響がほとんどないと思われるが、オペラやオケコンは通常の演奏に戻るにはまだ暫く時間がかかりそうである。ベートーヴェン生誕250年記念の年だからピアノ・ソナタなどもっと機会があってもいいのにと思う。