2011.4.23 (ライブ収録)
出演
伯爵夫人:ルネ・フレミング
劇場支配人:ピーター・ローズ、作曲家:ジョセフ・カイザー、詩人:ラッセル・ブローン
伯爵:モルテン・フランク・ラルセン、女優:サラ・コノリー  ほか
メトロポリタン歌劇場管弦楽団
指揮:アンドリュー・デイヴィス
演出:ジョン・コックス

リヒャルト・シュトラウス最後のオペラ。テーマが芸術のオペラ論だから音楽は素晴らしいのに上演回数は少ない。MET初演はこのコックス演出で1998年とのこと、13年も経ったこの公演が再演になる。日本では東京オペラプロデュースと東京二期会が10年以上も前に取り上げた記録があるだけである。ヨーロッパはそれほどではないだろうが多くないことは間違いないと思う。

「カプリッチョ」は昨年4月ウィーン国立歌劇場のストリームを観たが、キャストが凄い人を集めたものだと感心した。このMETも素晴らしくBRディスクが発売されている。METらしい伝統的オーソドックスな演出で、ウィーンのものよりも装置衣装とも現実的で上品な舞台であった。演技も細かいところまで自然にふるまっているように見えた。指揮・演出・歌手とも英米系で固めているから独伊系とは雰囲気が異なってより親しみやすくなっていると思う。

ルネ・フレミングが歌唱力だけでなく華やかな姿と品のある演技で伯爵夫人にピッタリであった。シュトラウスの彼女の舞台は「ばらの騎士」、「アラベラ」、「カプリッチョ」と3つとも観ているがどれも同じ雰囲気で、立っても横になっても何かしら自然の仕草をしている。驚いたことにフィナーレのモノ・ローグで自らハープを弾きながら歌っていたようである。(弦を弾いているのでまねではないと思う。) 作曲家のカイザーも詩人のブローンもともに美男子でお互い恋敵としても見栄えが良かった。劇場支配人のローズも存在感があったし、どの方も皆それぞれの役に収まって良く演じていたと思う。アンドリュー・デイヴィス指揮のオケは室内楽的なところはすっきりした音で良かったが、強音はバランスが悪くシュトラウスらしい芳醇な響きがしなかった。

METのこの映像は以前にも配信されたが都合で観られなかったので助かった。最近見るのが少なくなったが、古いものだったりリピートだったりするが、日替わりで変わらず配信してくれてるのは有り難い。興味のある方は先のウィーンの記事もご覧願います。

2020年04月21日 : くらはしのクラシック日記 (blog.jp)