2024.3.21(木)18:45 豊田市コンサートホール
曲目
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第4番変ホ長調 K.282
シューマン:クライスレリアーナ op.16
ショパン:即興曲第1番変イ長調 op.29
第2番嬰ヘ長調op.36
第3番変ト長調 op.51
ピアノ・ソナタ第3番ロ短調 op.58
(アンコール)
ショパン:24の前奏曲p.28-4
シューマン:ピアノ・ソナタ第1番より第2楽章
ショパン:幻想曲 op.49
今日本の若いピアニストは男性の方に人気が集中していて30歳以下の人が10名くらいいる。その中でも牛田智大は最も若い方で12歳でCDデビューを果たしているから最も早くから知られたピアニストである。その牛田が現在全国12か所のツアーを実施中でもう終盤にかかっている。全国同一のプログラムでシューマンとショパンが中心になっているが、1つ年上の藤田真央が得意とするモーツァルトが加わったのが興味深い。
牛田智大はステージマナーや話し方から真面目で素直な人のようだ。貴公子のようなイケメンで脇見もせず真直ぐにピアノに向かい丁寧にお辞儀をする。演奏後も深々と頭を下げ同じように去る。話し方も落ち着いている。音楽もそういう感じがする。本人も作曲家の心情や考えまで遡り楽譜に忠実であるよう努めていると言っている。目立つようなことはせず、豪快な強打もないしフレージングのアクセントや間の取り方で小細工することもない。強音よりも弱音(特に高音)の柔らかいキラキラした音が美しく滑らかなうねりが自然である。
モーツァルトは優しい演奏。柔らかな音が切れ目なくつながり流れるようだが私の好みはもう少し軽快なモーツァルトが好き。シューマンは激情と優しさの対比を強調するあまりそれぞれの曲ではややさらっとした感じがした。この曲ショパンに捧げられているから代表作と言うだけでなくプログラム構成上も繋がって良かったと思う。後半のショパンの方が良かった。彼には合っているように思うし、今ポーランドに留学中なのもショパンを追求したい目的からではないか。彼のショパンは弱音の抒情が素晴らしくサロン風と言う訳ではないが構えずに聴くことが出来る。ハッとするところはないが何度も聴きたくなるショパンである。
アンコールが3曲もありそれもプログラムと一貫性があるシューマンとショパンであった。シューマンはこのアリアの方が良かったのでこれで終わりと思ったら更に長いショパンの幻想曲があった。地元への気持ちと次の日が東京だったのでサイン会の代わりだったかもしれない。
最近の男性ピアニストのコンサートは聴衆の7~8割が女性。聴こえてきた会話からもそれ程コンサート・ゴウアーでもない人もいるようだ。クラシックの普及には良い兆候だと思う。